MasaichiYaguchi

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
グアンタナモ収容所に収監された無実の息子を救おうとするドイツの母の実話を映画化し、2022年・第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞2冠(主演俳優賞、脚本賞)を受賞した本作は、改めて「女は弱し、されど母は強し」という言葉を思い出させてくれる。
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロから1カ月後、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民クルナス一家の長男ムラートは、旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑をかけられ、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に収監されてしまう。
母ラビエは息子を取り戻そうと奔走するが警察も行政も動いてくれず、藁にもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルト・ドッケに助けを求める。
やがてラビエはドッケからのアドバイスで、アメリカ合衆国最高裁判所でブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすことを決意する。
キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に長く収監されるという悲惨な内容になり勝ちの本作だが、、「グンダーマン 優しき裏切り者の歌」などで知られるドイツの俊英アンドレアス・ドレーゼン監督は、ドイツのコメディアンのメルテム・カプタンが主演を務めたことで、シリアスなテーマにも拘わらずコメディタッチで軽妙な快作に仕上がっている。