ヘソの曲り角

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

3.3
(前半結構うとうとしてしまった…)

まずなにより邦題が良くない。彼女にはラビエという名前がある。

息子が親の許可無くムスリム圏に行ったみたいなヌルッとした導入から気づけば「なんだって!? 息子が収容所にぃ?」という話になっていて当事者としてもこれくらい寝耳に水な展開だったんだろうなと思う。それ以降はひたすらドイツ政府、アメリカ政府を相手に無実の罪で捕らわれてる息子の解放を求める闘争が続く。とりあえずで世論が息子をタリバンと決めつけ、それによってドイツ政府もテロリストに人権を認めることに及び腰、アメリカは当然「世界の警察」モードで話が通じない。とにかく障壁ばかりで話が進まない。シーンごとに何日経過したかが示されるのでその途方もなさが伝わってくる。

ただ、作品のムードが淡々としていてそれが果たして演出として適切だったかと言われるとちょっと厳しいところがあると思う。それとシーンごとのつながりが希薄で物語の流れをせき止めてるような気がした。ラビエのキャラクターも全部通すとそんなに嫌じゃないのだが前半の考えなしな感じがちょっと頭にくるので入り込みづらかった。

良かったのは息子との対面シーンがあっさりしてたのと、帰りの車から出て息子が夜空について話すシーン。本編で直接描写のないグアンタナモなどで行われた拷問については傑作「モーリタニアン 黒塗りの記録」を見ていただければと思う。