「カオス・シチリア物語」の原作者ルイジ・ピランデッロ
「遺灰は故郷シチリアに」との遺言が哀しみに満ちている
死後は生まれたギルジェンティの大地で
ただ静かに眠りたい
体は布にくるみ花も蝋燭の灯りもいらない
遺灰を散骨するシーンの色の変化は故人の魂が甦るみたいでした
1936年ローマで死去した後 独裁者によって拘束され 漸くシチリアへ帰ってくることができた
そして溢れるほどの蒼い大海に身を委ねることができた
夢から出てきたような汽車の異次元ショットや劇作家がいつまでも心に生き続けていることが伝わってくる表情がビシッと決まってて隅々まで気が通っている映像だった
かつてない孤独と哀しみは栄光の甘美でさえ癒すことはなかった
まるでシチリアの大地から這えたような巨岩に聳える大木はピランデッロの意志の力を感じる
「カオス・シチリア物語」の映像が息を吹き返す予感と序章に兄ヴィッテリオに捧ぐの文字に泣けてきた 募る想いが切なかった
全編を通してニコラ・ピオバーニが作曲した曲が流れる心の奥底まで浄めてくれる曲の透明度が映画を愛情で満たしていた
…… 「Voce celeste sicula feat. Maria Rita Combattelli」