もこ

息子のまなざしのもこのレビュー・感想・評価

息子のまなざし(2002年製作の映画)
3.7
すごく静かだった。音楽は無し、会話も特に多くなく、映画の中の多くは寡黙なオリヴィエの表情の機微や肉体で占められている。手持ちカメラのように人物にかなり寄ったカメラワークや長回しじゃないけれど途切れないショットが印象的で、まるで自分が映画の中に入ったかのようだった。初めに少年(フランシス?)の名前を見つけた時の静かな動揺が凄く伝わってきて、言葉が無くてもすごく雄弁な表情だった。実の息子を殺した少年をどうするでもないが、何もせずには入られないからしなければいいことをしてしまう。この「どうしようもなさ」がとにかく切ない。でもその切なさがオリヴィエの優しさや人間としての気高さを強調しているような気がする。

「5年も罪を償ったんだ!」とフランシスは言うけど、オリヴィエからしたらそんなの知ったことではない。若いフランシスにとって少年院での5年は最悪だっただろうけど、オリヴィエたちはこれから先もずっと最悪なまま生きていかなければならない。フランシスはまだ罪を償うっていうことがどういうことが分かってないんだろうなぁ。
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