息子のまなざしの作品情報・感想・評価

「息子のまなざし」に投稿された感想・評価

ラストを描くためだけに1時間半を費やしている。テーマは『赦し』。寡黙な映画ながら、深い感動がある。

息苦しい空間。めまぐるしいカメラワーク。

近すぎるカメラが苛々させる。

ドキュメンタリーのように音楽もなく、演出というわざとらしさが見えないが、その分感情がこちらに託されすぎている。最もリアルなのは、母親じゃないだろうか?

これまでとは違う映画、と言い切ることは出来るが、それを観るこちら側がどれだけのめり込めるか。
smoke

smokeの感想・評価

4.9
まず言葉にならないほど素晴らしい…。

映像には音楽や照明効果が加味されていない。かえってそのおかげでドキュメンタリー映画のタッチが即時的に映像を提示することを可能にしている。全編通じ緊張感がみなぎっており、主人公が無言で椅子に佇むだけでもハラハラさせられる。また人間は「許すこと」から「解放」が生まれるというテーマもこの上なく素晴らしい。

主人公は森林で少年を地面にひれ伏し首を締め上げる。締め上げられる少年の眼差しは無防備な子供の眼差しである。
それは同時に自分の息子が車内で無防備に少年を見つめたであろう鏡像のようにも思え、息子を圧殺した殺人者の眼差しから息子の眼差しを拾い出す。だから少年の首を離すことが、亡き息子の眼差しから自分を解放する未来だと確信する。

即時的に素朴に写し撮られる映像群だが、中には非常にメタファーに富んだ素晴らしい構図が見て取れる。
例えば少年が自分の位置から主人公まで定規で距離を測りそれを主人公が言い当てるシーンーーこれは物理的距離が精神的距離に還元されない複雑な状態を表している。また少年が木材を梯子から落とし頭を抱えるシーンーー少年が自らの犯した殺人で精神的重荷を抱えきれないリアルを主人公に連想させている。
こういった映像の素朴さの裏に映る演出がダルデンヌ兄弟のいいも知れぬ感動の秘訣であろう……。
おのs

おのsの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

フランシスがどんな人間なのか。何を思ったのか。画面の前の自分もフランシスをひとりの人間として理解しようとしていた。

オリヴィエがフランシスの首に手をかけた時、殺すと思ったが、心底殺さないでくれと願った。

無言の2人は何を思ってたんだろ。
感想川柳「選択肢 常に自分の 中にある」

ダルデンヌ兄弟の作品巡りで見つけました。φ(..)

職業訓練所で木工を教えるオリヴィエ。彼はある事件以来、心を閉ざして他人を受け入れられなくなっていた。そんなある日、フランシスという少年が訓練所に入所してくる。彼は木工のクラスを希望したが、オリヴィエから手一杯だという理由で断られた。だが翌日、フランシスが気になるオリヴィエは、自分のクラスで彼を受け持つことになる…というお話。


これはまたやるせないやつですな〜(´Д`)ついにオリヴィエ・グルメが主役になって、刑事でもなくなりましたが、こんな切ない役とは…(-o-;)

自分の息子を殺されて、奥さんとも別れるはめになったのに、犯人を見つけてしまって許すことは出来るのか?(ー_ー;)「ラビットホール」とはまた違う感じですね。

状況が状況だけに単純に「憎しみ」や「罪を償う」では片付けられないですね。( ;∀;)

実際「自分で制裁」すれば気が済むのか、「相手が真っ当に生きる」ならば気が済むのか…(-""-;)どっちにしろ死んだ者は還ってこないし、おそらく完璧な解消法は無いんだろうな。結局自分で「よりマシな方」を選ぶしかない。

あくまで「業務上過失」の範囲内だけども。( ・ε・)

自分がこういう状況に陥らないように祈るのみ。ヽ(´o`;
んでまずm(__)m
映画の良さは制作費の規模で決まるわけではないとゆうのがよくわかる作品でした。
職業訓練学校と中年男と若者と良い脚本があれば、これほどまでの作品が生まれるとは...。
残酷な現実を前にしても男は少年に救いを求め、何も知らない少年は男に温もりを求める。
【二人の距離感】【緊張感】を余すこと無く伝える映像と役者の怪演。
内容は重たいといえば重たいけど、久々に映画らしい映画に出会えた気分★
独り言

独り言の感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

随分前に見たので詳細は忘れている。
主人公に父親という存在を見る少年とそれを肌で感じながら同時に葛藤する主人公がひどく奇妙で切ない。
まるでドキュメンタリーを見ているような気持ちになった。
多くが語られない分
想像力を掻き立てられました。

全ての出演者が痛々しく、
苦悩が伝わってくるようで
涙がこぼれました。
LEONkei

LEONkeiの感想・評価

4.4
〝寛容なココロとは何か…〟

感情をコントロールすることの難しさは、誰もが苦悩し日々の暮らしの中での軋轢となるだろう。

特に怒り・悲しみ・憎しみ…と負の感情をコントロールする事が、人間がこの世に誕生してからつきまとう宿命でもある。

人間に感情がある限り様々な環境に晒され、理性と言う防波堤でかろうじてココロをコントロールしているにすぎない。

この映画を観れば〝寛容〟とは何かを知らしめられるだろう。

人間は完璧ではなく、誰でも過ちを犯す。
その過ちが意識的だろうが無意識だろうが、過ちには変わりはない。

ダルデンヌ兄弟にしか出せない独自の描写は、人間の本質を常に描き続ける。

背中越しから主人公を追うカメラ視線の先にあるのは、単に少年を捉えているだけでない。

一見、何でも無い雑なカメラワークに感じるが、その雑な映像こそ主人公のココロの同様が見え隠れしてならない。

何といってもこの映画は〝オリヴィエ・グルメ〟の言葉少なく無骨で素朴、人生を背中で表現する自然な演技に魅了される。

それまでダルデンヌ兄弟作品には欠かせない俳優であるが、全て脇役で影の薄い役柄ばかり。

自らの存在を消して印象を残さない背景と同化したような〝オリヴィエ・グルメ〟。

その俳優が主人公に大抜擢されたとなれば、それだけで面白くないわけないだろう。

観終わった後に彼の印象すら残さない、なんの変哲も無い俳優を主演に据えたダルデンヌ兄弟はやはり凄い。

寛容なココロをまざまざと感じさせられる作品…ラストも好き..★,
Phill

Phillの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

それぞれ乗り越えられない過去を背負いながら何かしらの形で共に生きていくのかなと、生きる事や考え方や決断の道は一つではないと思った。
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