菩薩

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーの菩薩のレビュー・感想・評価

3.9
中絶の必要がある女性から中絶の権利を奪い去ったところで彼女達には中絶の必要があるのだから当然合法・非合法問わず、時には莫大な資金を叩いてもしくは危険な方法すら厭わずそれを遂行しようと試みる。その結果として最悪の場合は死に至るし、そうでなくとも適切な方法を経ていれば再度妊娠可能であった筈の身体が取り返しのつかないダメージを受けることになる。だと言うのにプロライフ派の人々は、と言うか女性に対しての処罰及び支配感情と経済的恩恵を手放したくない男性達は頑なにNOを突きつけ、避妊の失敗を一様に女性のみに押し付けようとしたがる、その多くがたとえレイプであったとしても。

って言うのが海外のフェミニズム関連書を読むと大抵書かれていることであり、こうして手に入れた妊娠中絶に関する権利を再び剥奪されつつある現代に対しての確固たる抵抗の一貫として訴えられていることでもある。つか単純におかしいんだよな、妊娠しない男性が女性の妊娠についてとやかく言うってのが。マイボディマイチョイスは女性の権利云々の前に人としての最低限の権利でしかない。小品ながら大きな闘いについての映画であるし、ちゃんとホワイトフェミニズムに対する批判も入ってる。今観るべき内容として適しているし、このテーマでちゃんとエンタメに持っていってるのが流石。対岸の火事と侮るなかれ、未だに掻爬にこだわる日本人も決して他人事にしてはいけない。闘いは尚も続く、手を取り合い互いに互いを救う女達の映画。相当割り切った思考であるから反対意見もあるだろうが、何より救われた数とその必要性がものを言う。
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