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愛と激しさをもってのmat9215のレビュー・感想・評価

愛と激しさをもって(2022年製作の映画)
3.0
誰もいない海岸で中高年の男女が睦み合うオープニング。この後に見舞われる不幸を十分に予感させるほどの幸福感が溢れている。不幸の兆しは、ジュリエット・ビノシュが元カレの姿を見掛けただけで心が乱れるところで現れる。その後は、不幸にむかって突き進むビノシュの見せ場がいっぱいだ。一方のヴァンサン・ランドンも不安と漢気の両方を見せる。二人の罵り合いは、『落下の解剖学』などよりはるかにイタい。また、ビノシュとランドンの肉体が顔より雄弁だ。ビノシュの裸体の広い背中、タイトなシャツを着るランドンの頑丈な上半身。
元カレのグレゴワール・コランは、『美しい仕事』でドニ・ラヴァンに懸想される美青年から、ゲスい役が似合う良い俳優になった。久しぶりに見るビュル・オジェはすっかりお婆さんになっていた。この頃は監督として活躍するマティ・ディオプは『35のラムショット』と印象が変わらなかった。
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