ねまる

家をめぐる3つの物語のねまるのレビュー・感想・評価

家をめぐる3つの物語(2022年製作の映画)
3.7
違う作家の作った3つのアニメーション作品。
全て同じ、"家"を題材とし、どこか嫌なムードが漂うところは共通している。
嫌度から言うと、2話がMAX、1話、3話。
2話の後では、3話に爽快ささえ感じてしまうから、3話まで全部観ることに意味があるのかも。

1話、ある家族は自分たちの住む小さなお家と引き換え、建築家の建てた大豪邸を与えられる。
千と千尋の冒頭シーンを想起させるような話。
娘のメイベル視点なのがまだ救いだけど、父と母を見捨てず、赤ん坊も守らないといけない必死さに、一緒なハラハラする。
メイベル、ミア・ゴスが声をあてているんだね。
うまい話には裏がある。

2話の嫌さはもう画面をみていられないくらい。
トラウマレベルの悪夢。
1話は人間、2話の登場人物はネズミなのに、
2話の方がリアルの延長線上にある悪夢。
メンタルが終わる。シンプルに虫が嫌過ぎたし、終わっても口に苦味が残る。
ただし、1話も食い物にされる弱者とみれば、悪夢というより不条理の比喩でもある。

3話も同じ、現状をなんとかしようとする人にふる災難は辛いものがある。私にとっての悪夢だ。
貼ってる側から次々剥がれてくる壁紙みたい。

全て自分の思うようにコントロールをしたくて、必死になっても、
どうしようもないことでそう出来なくて、苛立ったりするけど、
自分と相容れない人との関わりと、その受け入れによって、むしろ上手く行く。
1話2話のラストとどう違うのか、比較するのも面白いし、私も全てコントロールしたいタイプだから、分かりやすくて、メッセージ性のある良い話だった。
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