マインド亀

フレッシュのマインド亀のレビュー・感想・評価

フレッシュ(2022年製作の映画)
3.5
●ディズニープラスは面白い映画をフィーチャーすることがないのですね。短いあらすじ(よくネタバレしまくる!)で面白そうに紹介しないので、全く注目することもなく完全にスルーしてました。「ノアは魅力的なスティーブに出会うが、 彼は異常な食欲の持ち主である。」ってなんだよ!ジャンルがギリギリわかるかわからないかくらいだし、微妙にネタバレだし、全く面白そうにならないよ!

●お陰で、前半の甘いラブロマンスを見てても、いつセバスチャン・スタンが牙を剝いて襲ってくるか気が気じゃなくて、「ラブロマンスがホラーに」というジャンル飛び越えのサプライズが味わえませんでした。

●ただ、自分がいつ来るかとビビっていたカニバル場面というのは直接的には無く、そういう意味では安心で、そういう痛さは「RAW〜少女のめざめ〜」のほうが上。ただし、こっちはちゃんと一流料理人ばりに美味しく調理をする場面を映してるだけ。それが逆にたちが悪い(笑)視聴してから晩御飯の用意をしたのですが、まのわるいことにハンバーグ。「フレッシュ」のことを頭から追い出しながら調理をするのに必死でした。

●閉じ込められた女性がそこからどうやって逃げるか、というのはよくあるホラーの定石ですが、この映画がまさにフレッシュなのは、登場する男たちが、女性にとって全く役にたたないこと。結果的に女性の力のみでこの男たちの牢獄から抜け出そうとするのですが、「女性は助けられる立場だけではないのよ!」と、男性社会を「サバイブ」ではなく「デストロイandビルド」していこうとする、とても意識の高い映画でした。銃声を聞いて助けに行くかどうかを迷う彼が黒人の立場を表していて、そういったところも根深い差別問題を表していています。また、同じ立場の女性でも、男性に同調していくしかない登場人物がいます。我が国にもいますよね、某党の保守派炎上系女性議員。
ホラーは世界の問題を提起するのに最も適したフォーマットだと思うのですが、ここまで全方位的にフォローができている丁寧なホラーもそうそうないでしょう。

●余談ですが、今度のスーパーマリオの映画はピーチ姫は助けられるだけの囚われの姫ではなく世界を救うための冒険者側になっているに違いないと思うのです。多分。
マインド亀

マインド亀