75歳以上で自死を選べる法律のある近い未来の日本で
淡々と時間が経過していく映画。
特別劇的な事件が起こるわけでもないが
段々年齢を重ねていき、周りからどんどん人が消えていく。
ほとんど独居老人のような倍賞千恵子。
法律に従って粛々と老人たちにPLAN75を薦める磯村勇斗。
PLAN75施設で黙々と作業を進めるステファニーアリアン。
すごくリアリティのある近未来像であり誠実だと感じた。
全体的にセリフが少なく、映像と間で感情描写するのにも好感。
若干間が冗長かなという気もしなくもないけど。
しかしこのPLAN75という法律は
一見ギョッとするような内容の法律。
でも、よくよく考えてみると今の日本でも
年金支給年齢が65歳、今後さらに引き上げになるかもしれない状況で
生きる権利も死ぬ権利も認められない現状に比べれば
生きる権利も死ぬ権利も与えられ選べるというのは
はるかに優しい在り方なのかもなあとも感じてしまう。
もっともこれは死ぬ側の視点であり
見送る側の視点ではまた異なる感情も生まれるのでここが難しい。
その点も作中では描かれていてやはり誠実である。
