義民伝兵衛と蝉時雨

PLAN 75の義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
2.9
日本社会の少子高齢化の成りの果てを想像して描き出し、その警鐘的内容と、”PLAN75”という制度が制定された近未来が舞台という設定の発想には面白味を感じたが、脚本の詰めの甘さが終始気になった。同じ社会派映画の「新聞記者」のような奥行きは感じられず、映像の方も自然の美くしさを映像美に落とし込もうとしているのがあからさまに分かるのだが、それがわざとらしくてあざとくて気持ちが入っていかない。只、倍賞千恵子の演技はひたすらに素晴らしい。本作は倍賞千恵子に支えられていると言っても過言ではないと思う。そこには渥美清演じる『お兄ちゃん』は徹頭徹尾助けにはこない。パセティックな現実への失望感はひたすら脱ぐわれない。間違えなく倍賞千恵子の晩年の代表作になるだろう。それほどに素晴らしい演技だった。