マサミチ

PLAN 75のマサミチのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
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以下ネタバレあり。↓
















そもそも導入部分、年輩者を排除しようとする事件が多発した事が引き金となり、年輩者が自死する事を認める案が国会で可決されるとゆう流れがムリがあると思う。

介護疲れによって寝たきり老人を家族が殺害する件からそういった議論が起こる流れにでもしないと、「こうならば仕方ないよね」と云った説得力が生まれない。

ただし固定したキャメラの撮り方や被写体の切り取り方、この映画全体に流れる静かで荘厳な佇まいは非常に評価する。とても長編映画初監督作品とは思えない。

だからこそ惜しいと感じる部分もあるのだ。

PLAN75と関わっている3人の若い世代、役所で年輩者に説明する役回りの磯村勇斗、死を決意した年輩者の聞き手役のコールセンター職員の河合優美、年輩者の最後の世話役のステファニー・アリアン、彼らが感じた憤りを爆発させるセリフをやはりきちんと観客に伝えなければダメだと思う。

淡々とした演出スタイルだからこそ、世の中の理不尽さに対する怒りを言葉にしてほしかった。そうする事でより印象に残る作品になったと思うのだ。

結果的に倍賞千恵子演じる主人公は土壇場で生きる事を選択したが、ここの見せ方が非常に曖昧である。

この後彼女はどうするのか?根本的な解決が見えない以上、単なる怖くなって逃避したようにしか映らない。

力作であるだけにそこが惜しい。

ただしまァ倍賞千恵子の年齢を重ねた皺が雄弁に何かを物語っている捉え方も出来るのだが。
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