このレビューはネタバレを含みます
死ぬ権利を獲得した日本。
先日の「ピンククラウド」ばりに 近い将来
ほんとに起こりうるかもしれないディティ
ールのこだわりにリアリティがあり 短絡的
で事務的な死への向き合い方に薄ら寒さを
覚える。
切った爪を観葉植物の肥料にしたり 退職す
る職場のロッカーを丁寧に拭き手を合わ
す、倍賞さんの慎ましやかでシンプルな品
と佇まい、この世に息づくすべてに対する
慈愛を感じ 美しい声に魅了されてただけに
その後のやるせない展開を考えるだけで涙
が止まらなくなった。
若い世代のふたりが自ら死を選ばざるを得
ない高齢者達と直に触れ合う中で 無関心で
はいられない、揺らいでいく気持ちの震え
こそが たくさんの人々に伝えたいメッセー
ジなのかもしれない。
何かがすぐに変わるわけではないけれど
この作品の訴えかけてくるもやもやや息苦
しさにまず向き合うことで 希望の芽が出る
こともきっとあると信じたい🌳
ただ もしも未来に生きる活力をなくした時
あのシステムが自分を救う唯一の灯火とな
る可能性も否定できず全否定できない気持
ちが存在してるのも確か。
はじめての監督さん。
眩い映像美と好みな質感、キャスティング
のセンスも。