倍賞千恵子さんはもちろん、出演者が本当に全員素晴らしい演技。
台詞がなくとも目と表情で訴えるシーンが随所にあって印象的だった。
超高齢社会の日本で、このPLAN75という制度は今の日本なら成立してしまいそうな絶妙なリアリティーがある。
私は長生きしたくないし、こういう制度があれば利用したいと考えていたけど、これを見て日本では無理だと感じた。
日本でのそれは決して個人の尊重ではなく、この映画のように国の未来のためにという風潮になることは確実だ。
強制ではなく選択権を与えるというと聞こえはよいけど、奥底によどむ「社会の役に立たない人間は生きている価値がない」という雰囲気は人々を否応なく追い込んでいく。
早川監督インタビューの「優しい顔をした暴力」という表現がとてもしっくりきた。
きれいに取り繕った部分だけを見せられて、疑問も抱かず想像し考えることを放棄する。
匿名性の高いネット世界では声をあげ問題提起しても、現実社会では諦めに近い受身の精神。
自己責任というワードが必要以上に蔓延り、ひとつの失敗も許されないような不寛容さに満ちた空気感。
単に高齢社会問題だけでなく、そんな精神性を抱える現代日本に危機感を持ってほしいと一石を投じるような映画だとも感じました。
皆さんはどんな風に感じたのか知りたい。
