このレビューはネタバレを含みます
あの歳で慎ましく誰にも迷惑かけずに生きてきた倍賞さんがなぜこのプランを選ばなくてはならないのか?カードが何枚にもなるまで献血して、道端のゴミ拾いをして、社会にたくさん貢献してきた磯村くんのおじさんがなぜプランを選ばなくてはならなかったのか?
国がもしこういう制度をつくったら、ひょっとしたら真面目に慎ましやかに生きてきた人ほど、このプランを選択するのではないだろうか?
果物を剥いて食べる、伸びた爪を切る、植物に栄養を与えるという生命の連鎖。
温かい手を握って眠りにつく、その手が冷たくなって生活感のある居間にだらんとぶら下がる、その生命の儚さ。描写が丁寧で儚い。