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PLAN 75のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.3
日本に75歳以上の高齢者に対して死を選ぶ権利を認め支援する制度が施行されたと仮定して、制度に申請する老人たち、制度を支える役所の職員、関係者たちの心の揺れを描く。
早川千絵監督がオムニバス集「十年 Ten Years Japan」で手掛けた短編を長編化した作品。
カンヌ国際映画祭ある視点部門カメラドール特別表彰受賞。

①冒頭の若者(森優作)のメッセージ
「増えすぎた老人はこの国の財政を圧迫し、そのしわ寄せを全て、若者が受けている。老人たちだって、これ以上社会の迷惑になりたくないはずだ。なぜなら、日本人というのは昔から、国家のために死ぬことを、誇りに思う民族だからだ。私のこの勇気ある行動がきっかけとなり…」

②冒頭のラジオの声
「75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を認め支援する制度、通称「PLAN 75」が今日の国会で可決されました。高齢者が襲撃される事件が全国で相次ぐ中、深刻さを増す高齢化問題への抜本的対策を政府に求める国民の声が高まっていました。発案当初から物議をかもし、激しい反対運動が繰り広げられましたが、ここへきて、ようやくの成立となりました。前例のないこの試みは世界からも目を集め、日本の高齢化問題を解決する糸口となることが期待されます」

③サポート・センターの女性(講師)の発言
「実際、途中でやっぱり止めたいってなる方がすごく多いんです。
そうならないよう皆さんがうまく誘導してあげなくちゃいけないの」

~登場人物~
・夫と死別し一人で暮らす78歳のミチ(倍賞千恵子):高齢を理由に解雇され、定職を見つけられず、次第にプランへの申請を検討し始める…。
・プランの申請受付を担当する役所の若い職員(磯村勇斗)
・その叔父。プランの申込みをする老人(たかお鷹)
・“その日”が来る直前までを"サポート"するコールセンターの若い職員(河合優実)
・老人介護職を辞めて、亡くなった老人の遺品の回収作業に転職する、フィリピンからの若い出稼ぎ労働者( ステファニー・アリアン)
・  遺品の回収作業をする男(藤丸釜足演)
・ミチと一緒に働いていたホテルの客室清掃員( 大方斐紗子)

ジャン=リュック・ゴダール は昨年、居住しているスイスで「自殺幇助」を受けて亡くなったが、日本に成立したという
この「PLAN 75」は、年寄りが邪魔だからと死に追いやるだけの、「尊厳死」とは相対するものである。
(尊厳)死を選択する個人の自由があるとしても、国家が組織的に死を勧めるような制度が間違いなのは、当然。
いかにも胡散臭い法案が成立し、世間の人たちが疑問を持たず受け入れていること自体が疑問。
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