TakuoAoyama

PLAN 75のTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

高齢者社会、尊厳死、安楽死の問題に踏み込んだ社会派作品。

だが、監督の敢えての演出なのか、PLAN75が成立した背景や目的が明示されてる訳でもなく、主人公角谷ミチ(倍賞千恵子)を始め、PLAN75に参加する高齢者達の家族構成やバックボーンも明確に描かれていないから、誰かに共感を求めるような作品ではなく、終始問題提起に留めているような作品。

制度の詳細も曖昧なまま。例えば福祉制度や福祉施設との矛盾、いつでも辞退できるということだが10万円もらった後にも辞退可能なのか、極論自殺と何が違うのか。

明るいコマーシャル、10万という絶妙な助成金、や厳しい審査も家族の同意も必要無しという緩いルールは命を軽んじているということを表現したかったのか。

対してある意味殺人に加担する若者達が描かれる。岡部ヒロム(磯村勇斗)は市の職員として制度を告知し、事務処理を淡々とこなす。成宮瑶子(河合優実)は制度に申込んだ人に死の直前まで電話で寄り添うコールセンターのオペレーター。淡々と日々の業務を執行する彼等だが、自分の叔父が志願者だったり、電話相手と実際に会ってしまったり、まだまだ生きられる当事者達と触れ合うことでこの制度に疑問を抱くようなる。

別に身体的に弱っている人にフォーカスが当たる訳ではない。死にたいと思う人は精神的にただ孤独なだけ、というのが本作で一番伝えたかったことのような気もする。
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