YouTube. マストロヤンニとローレンのゴールデンカップルは、ブラゼッティによって生み出されたんだよね。でも、この映画じゃない。これは二本目。1954年の『Peccato che sia una canaglia 』が最初。こちらはその二番煎じという感じ。
冒頭のシーンはフェリーニの『甘い生活』そのまんま。というか、こちらが先なんだよね。マストロヤンニのコッラードがパパラッツォというわけだ。話し内容も同じ。ブラゼッティの原案でスーゾ・チェッキ・ダミーコの脚本はそつがない。というかブラゼッティは戦前に、アメリカの喜劇映画の影響を『Contessa di Plma』(1937)なんかを撮っているんだよね。その現代版という感じだな。
パーティのシーンで、アルファやらフィアットやら当時のハイクラスから庶民クラスの車が一同に集まり、その後で夜の散歩、ロマンチックなベンチには座らず、「工事中 Lavori in corso」の標識を通過して、彼氏の家の前。ところが意地の張り合いで気持ちが伝わらず、彼女は最後の手段に出て、工事中の石畳道路の石を掴むと、彼に投げつける。何をするんだと慌てる彼に、彼女が叫ぶ。それは意気投合した伯爵の妻エレナ/チェガーニから聞いたセリフだ。
「わたしは庶民の出だから、ときには物を投げて問題を解決するしかないのよ(Io sono una popolana e certe situazioni bisogno risolverle di slancio.)」
まさに戦後庶民派ローレンの本領発揮。それを受けるのは同じく庶民派マストロヤンニ。こうして二人が唇を合わせるとき、問題は解決したかに見えるのだけど、ブラゼッティはちゃっかり「工事中 Lavori in corso」 を映してみせる。映画には Fine の文字がでても、ふたりの工事はまだまだ続くというわけか。