かんやん

ドント・ウォーリー・ダーリンのかんやんのレビュー・感想・評価

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青春映画の快作『ブックスマート』で監督デビューしたオリビア・ワイルドの監督第二作。脚本は前作にも参加した方。

砂漠にある新興住宅地ビクトリーランド、そこで優雅に楽しく暮らす若い人妻たち(老人はいない)の夫は皆同じ企業で働いているが、その仕事は機密とされている。

日常に違和感を感じるヒロインが謎を探り始めると、このユートピアにどんどんヒビが入り不穏なディストピアへと変貌を遂げてゆく。この街の秘密とは何なのか、アレコレ予測してしまう。

このオチに「おー」と思うか、「えー」と思うかは、人それぞれだろう←当たり前。自分は推理が外れていたから悔しくて、アレコレ文句を言いたくなった。

そもそも伏線(地震、卵、飛行機、ガラス戸など)が機能していないから、推理など成り立たないのだけれど(ヘタなミスリード)、それはヒロインの心境のメタファーだからかな。メタファーを映像で撮っている。そこが面白いかもしれないけれど、真面目に推理していると、騙されたように思うかも。

最近のアメリカ映画で洗濯物が出てくるのは珍しい。フェリーニやアンジェイ・ワイダはモノクロ映画で、白いシーツが風になびくシーンを撮ってるけど、本作で燦々と日が注ぐなか、カラフルな洗濯物の中をフローレンス・ピュー(立派な存在感だ)が駆けてゆくシーンで、ああ、監督はこういうショットが撮りたいんだなと、ちょっと嬉しくなってきましたね。単なる手堅い職人監督とは一線を画していると思うわけです。

ネタバレになるので、テーマには触れません。
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