夜の籠の中で美しく歌う、ある妖艶な鳥の物語。古いようで新しい。現代に蘇る19世紀末の熱気。
NYやロンドンを舞台にしても描けるかもしれない。しかしベルエポックのムーランルージュであるからこその自由と混沌、愛憎が作品にある種の品格を与えている。
その舞台で、美声と美貌に、愛嬌と苦悩を絶妙に織り交ぜるN.Kidmanが凛々しく咲き誇る。
目まぐるしい映像と、有名な楽曲の使い方は賛否が分かれるだろうが、100年前の伝説の時代にインスピレーションを受けて、実に大胆に世に放った創作力は見事。
“The greatest thing you'll ever learn is just to love and be loved in return.”
Romeo + Juliet (1996)から本作を経て The Great Gatsby (2013)へ。悲哀な純愛に取り憑かれたBaz Luhrmannをこの台詞は言い当てている。