人生すべてを失っていた男が、死を前に人生に少しだけ戻り、去っていく話。
愛を信じて家族を捨て、愛を失い自分自身の人生も捨てた男が、死を前に捨てていたものにもう一度出会う5日間。
別れた妻に会い、これからの娘の人生が良いものであると信じさせてくれと懇願するシーンあたりからラストの「下で待ってる」まで泣きっぱなし…。ブレンダン・フレイザーの恐ろしいほどの名演は何かが憑いてるよう。
常に鍵の開いたドア、鍵の開かない部屋。暗い雨と外から差し込む光。娘の魅力と邪悪さ。親友との絆と裏切り。医療行為と死へ向かう食事(それを両方とも親友が持ってくる…)。宗教の救いと残酷な攻撃性。もう立てない体と歩いて召される体。これでもか!!というくらい完全密室の舞台装置に対比の構造を入れ込み、ラストシーンまで物語を作っている。
宗教的にも人物造形的にも、演出されすぎている感じはあるけれど大傑作だと思う。ホン・チャウがアカデミー助演女優を獲るべきだったのでは…!