これも機内上映で。常に優しい視線で世間のレールからはずれた庶民の日常を映像化するならピカ一のダーレン・アロノフスキー監督作品。登場人物の少なさから唯一の外界とのつながりは受け持つオンライン講義だけという主人公の隔絶感が強調されているように思えたが、元が戯曲と知って納得。
ドキュメンタリーだと実像を収めるから観るのがしんどく感じられるが、映画だと人によって『そうだよね!』とうなずいたり『アメリカだとこうなのか』『アメリカでもこうなのか』と考えたりする余地が生まれる。登場人物ほぼみんな何かしらダメな部分や葛藤、負い目を抱えているものの、みな主人公チャーリーを好きで気にかけているのがよくわかる。
「レスラー」で医療費がものすごくかかるんじゃないのかと想像した部分は今作ではっきりと高額であると示され、本当に支援を必要としている人々がアクセスできず援助を受けられない（チャーリーの場合は『受けない』?貯金額が事実かわからないよね）という現状を明確にする。スマートフォンや大統領選の様子を伝えるニュースが、これは2020年代の話だと知らせる。食事やチョコレート・バーの類が、これはアメリカだと強調する。
三日後に復活、はないよなあ。
