ちこまる

ザ・ホエールのちこまるのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

思うことがありすぎて感想がまとまらない。


男子学生と恋に落ち、家族を捨てたチャーリー。

愛し合ったパートナーを亡くし
ストレス悲しみを紛らわすために暴食。
昔の面影がないほど肥大化。

物語の始まりは
1週間の命を告げられるところから。


8年ぶりに会った娘に罵倒され、
SNSに写真と酷い言葉でアップされるも、
彼女は邪悪なんかじゃない。
彼女は素晴らしい子だ。と

一つでも自分がしてきたことが正しかったと信じたい。
これは家族を捨てパートナーを選び、
そのパートナーを死なせてしまったからこそ出た言葉か。自分を救うためか。娘を愛するが故か。


正直に書くこと。
エッセイなんてくそくらえ。だと。
正直な気持ちをさらけ出した学生たちに
自分の姿を晒し、終えた最後の講義。
細かい添削なんかより、
誰もが喜ぶ文章の構成なんかより、
意味のある講義だったと感じた。


死を悟り、
娘を捨てたことを悔い、
今ならあんなこと絶対にしないのに。
考えられないと謝罪した。
医者はいらない。救うならエッセイを読んでくれと。
これは本当にいいエッセイだと。


涙をこらえ、パパと呼び、昔書いた自分のエッセイを読むエリー。
自分の足で娘の元まで歩くチャーリー。
ここは本当に涙が溢れた。


最期まで娘を信じ続けた。
その言葉と想いはきっとエリーを救っただろう。


波の音と共に流れるエンドロール。
家族3人で海に行った思い出とともに旅立ったようだった。

部屋の中だけで繰り広げられる物語。
あのなんとも言えない窮屈感、不自由さが伝わったのは観ている側も部屋から出られないからか。
素晴らしい構成。
ちこまる

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