ザ・ホエールのＮＮＳのネタバレレビュー・内容・結末

面白かった。
といっても素直に感動できたわけではなく、チャーリーの身勝手さに始終イライラさせられてしまった。

「正直」に生きることをチャーリーは重視していたけど、正直に生きることの辛さの方が感じられた。
チャーリーは自分に「正直」だったから妻子を捨てて男に走ったのだし、
逆に宣教師やピザ屋の配達員の「正直」さで深く傷つけられた。
それで荒れて自傷のように過食しながら生徒たちに「成績のためのエッセイはやめて正直に書け」と指示するなんて、若者に自分と同じように傷つく生き方をさせようと呪う呪詛のように思えた。

本筋ではないけど出てくる女性たち、リズもエリーも元妻メアリーも、三者ともチャーリーの勝手な振る舞いに怒りながら彼を愛し気遣いケア労働を行うって展開も都合が良すぎて引いてしまった。

けどそんなチャーリーにも自分の生き方を自分で決める権利があるし、娘は大丈夫だと信じるのはチャーリーの自由だし、チャーリーなりの救いを求める権利は誰にも奪えないのだと思った。

身勝手なチャーリーには娘と心通わせて昇天する、なんて勿体無いほどの結末だと思うけど、チャーリー自身が諦めずに手に入れた結末なのでこれはもう彼の勝ちなのである。