小さなアパートで繰り広げられる会話劇。
息苦しくなるほどの閉塞感は、画面のサイズとも関係しているのかも。画の薄暗さもしかり。
巨体で身動きの取れない、チャーリーの風貌も相まっている。
チャーリーの娘エリーにとって、チャーリーはまさに憎むべき鯨。
自分の痛みの原因である。
チャーリーは荒れくれたエリーを何とか救い、自らの罪を償いたいと思う。
トーマスもリズも、チャーリーを救うことで、自らを罪悪感から救おうとしているのかもしれない。
エリーが白鯨について書いたエッセイがこの物語の肝となる。
この鯨は感情を持たず、どれだけエイハブが彼を殺したがっているかも知らない。ただの悲しい動物だから。また、私はエイハブも残念だと思う。彼は鯨を殺せば人生がよくなると思っているけれど、現実はそうならないからだ。
気持ちは分からないでは無いけど、エリーの言動には、少し見ていてウンザリさせられてしまった。
巨体から見せる、ブレンダン・フレイザーの瞳が悲しい。
「ハムナプトラ」よりも「青春の輝き」のブレンダンが好きだった。あの繊細さが甦ってきた。
長く続いた閉塞感から、ラストシーンで開放された。大海原へ出た鯨のように。