朝からフルーツミックス

ザ・ホエールの朝からフルーツミックスのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

雑めもクソ長い



・室内劇の映画を久しぶりに見た。カメラワークが飽きさせない演出かつ、人間関係を理解しようと集中してたこともあり全く気にならなかった。
・ドアの演出はやはり舞台みを感じた。チャーリーに背を向けて外の世界に出ていく人達。終盤女性たちが全員、ドアを思い切り閉めて雨の中を歩いていく。チャーリーの死への拒絶と悲しみが感じられた。
「誰も僕との絆など望みはしない」。全員繋がっていたいと思っているのにチャーリー自身が自分を拒絶、もしくは諦めている
・ピザを運んでくれるお兄ちゃん好きだったな。名前を教えてくれたり。昔何かの記事で読んだ、「家族や親友のような強いつながりよりも知り合い程度の弱いつながりによって人の幸福感は上がる」を思い出していた。だから、ピザ屋に拒絶されたような反応をされて拒食してたのは完全に引き金になっちまったなと思った
・精神的な救いを行おうとする青年と在宅看護兼介護を行うリズ。この2人を同じ画面に描いてるのは面白かった。表面上は対立してるけど、共通してるのはどちらも深く傷ついてる。でも目の前のチャーリーを救う事で自分の悲しみから逃避してること(たぶん)
・「この世界全てに怒る必要は無い。僕にだけ怒ればいい」について。白鯨のエッセイからエミリーも本能的に理解してると思った。白鯨のエッセイ、エイハブ=娘、白鯨=チャーリーだと私は感じた。父のせいにしても問題は解決しない。エミリーは深層ではそこを理解してる。でも感情はコントロールできないから周りを攻撃してしまう。
(白鯨は映画でしか見たことないから小説を読んでいればもっと違う解釈になったかもしれない)
・リズ「誰も人を救うことはできない」。これを看護の人間が言ってるのが本当に重くのしかかる。それに対して「どんな人でさえ誰かを気にせずにはいられない」。このセリフがほんと〜〜に全て。全ての登場人物に当てはまって情緒に炸裂した。ピザ屋もそうだよ!
・最後の最後に娘は父親(=自分の深層部分)と真正面から向き合ってたね。チャーリーもまた開放されたドアから入る光の中で、娘があのエッセイを読んでいるところへ自分の足で自力で歩く。あのシーンは本当に脳に焼き残って、エンドロール入っても身動きが取れなかった。余韻が素晴らしいので1人で観てよかった。ブレンダン・フレイザーの演技を見たことがなかったけど凄まじい。主演男優賞も納得だった。