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ハート・ショットのbobのネタバレレビュー・内容・結末

ハート・ショット(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ

とてもよくできていておもしろかった。
主人公は財布をスッて食べ物を買っていて(財布自体は返している)、現実的ではないけどよくある映像なので違和感を感じない。しかしハンドガンを鞄に忍ばせていて何かありそう。
セリフで周辺情報がわかる。主人公はクイアで母親にはカミングアウトできていない。
家族が旅行中のガールフレンドの家に遊びに行く。2人が幸せそうでとてもいい。
玄関前ではキスしているのを誰かに見られないか心配することで寛容でない人(もしくは地域)がいることがわかる。

主人公が外に出て大人に話しかけられた時の隠し持った瓶は、咄嗟のこととはいえそれでどうするつもりなんだと思わされる。(ここでも周囲にばれたくない、マイノリティとしての防衛だと思える)

ガールフレンドとの会話には若干の違和感を覚える。姉との競争?(英語が聞き取れなかった)で大怪我を負わせたのを母親が喜んだ。クイアへの不理解以外にも問題があることが伺える。

しかし主人公の正体(具体的には分からないけど)が明かされるとこれまでの違和感が翻ってくる。スリも納得だし、瓶でも確かに戦えるだろう。マイノリティであるための防衛ではなく追われていた。家族との独特のエピソードも腑に落ちる。

よくできているのは性的マイノリティ要素を、周りからの理解を得るみたいな若干見慣れたものにせずに
特殊な家庭環境に置く事で、親からの自立・解放(カムアウト)と重ねられているところ。

見慣れた映像表現の使い方がうまくていい感じに騙される。ぶつかって財布を抜くとか(できなそうだけど納得しちゃう)
クイアであるがゆえに怯えを、抱えているとか。
短編では特に効果的だと感じた。

終わり方も良くて
ガールフレンドの救出に成功し家族・母親から解放され、同棲する選択を取れることまで想像できる。まさにカムアウトといった感じになりそう。
演技と演出も良かった。
長編でも見たい。
bob

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