くりふ

ゼイ・クローン・タイローン/俺たちクローンのくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【ブラックローンスプロイテーション】

Netflix新作。個人的には『ゲット・アウト』を半歩後退させ笑いを増やしたヤツ、でした。

ブラックスプロイテーションという枠を利用して半歩先に行こう、とする試みは面白いと思うし、役者トリオも好演している。でも、クローンって今さら感があるからなあ。

実際にクローン人間を作って、オリジナルと極力、同じ環境で育てても、まったく同じになならないでしょう。映画でもよくあるネタだけど、コレはクローンってより、超技術による人間コピーでしょう。

それなりの安価でできるようになった、が前提でしょうが、それにしてもこうやって組織だてて運用しないといけないんじゃ、大変だよね。で、そうまでして何を実現したいのか?

同化政策を皮肉っているらしいが、そんなに手間隙かけてまで、白人は皆、そうしたがっているんだろうか?

出オチとしては、お!と思うが、この場合だと“黒人が白人化した世界の理想像”なりを何らか、提示してもらわないと絵に描いた餅で終わっちゃう。

かつて『マンディンゴ』が描いた、黒人奴隷“牧場”の方がよほど強烈で、白人の搾取欲って、未だにそっちの方が本音じゃないかって気がする。

自分たちに近づける気はなく、近づいたら殺しちゃうでしょ。

脚本・監督は黒人で、やはり『ゲット・アウト』同様、黒人から見た白人観なのでしょう。

でも外見と中味、という意味では丁度、『ゲット・アウト』と逆のコトを言っているのね。

<2023.8.1記>
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