ぺんじん

大いなる自由のぺんじんのレビュー・感想・評価

大いなる自由(2021年製作の映画)
4.3
第二次世界大戦後のドイツでも長く施行された刑法175条。男性同性愛に厳しい罰則を設けたこの法律によって、何度も刑務所に入った男を巡るドラマを40年代、50年代、60年代の3つの時代を重ね合わせながら描いていく。
勿論男性同士のセックスシーンとかはあるんだけど、そこはそこまで見せ場にはならず、結構淡々と同性愛者と異性愛者の性愛を超えたドラマを描いていてかなり渋め。
最初60年代後半から始まって40年代後半に戻る所なんかはアメリカの駐在軍の兵士がいたりしてオッとなるんだけど、刑務所の中はあんまり変わんないから、この長年に渡る抑圧がズシンと来るものがある。
3つの時代を演じ分けた俳優の抑えた演技が素晴らしかったし、男性の同性愛者に向けられる見えない圧力を台詞ではなく、映像で見せている表現が素晴らしかった。
景色が変わらないし、ちょっと淡々と進んでいくから眠くなってしまう感じはあるけど、最後の展開には結構驚いて目が覚めた…ちょっと『ショーシャンクの空に』みたいな展開かと思ったから結構裏切られた…これが人間だよな…
戦後ドイツでも長い間こんな法律が続いていたのは驚き…1969年はアポロ11号が月面着陸した年だからそのギャップたるや…
世間から見放された男たちの痛みを味わう一作。
ぺんじん

ぺんじん