ボブおじさん

オリエント急行殺人事件のボブおじさんのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)
3.9
〝ミステリーの女王〟アガサ・クリスティの名作を「十二人の怒れる男」で名を馳せたシドニー・ルメットが映画化した密室ミステリーの大作。社会派の巨匠ルメットがミステリー映画でも、その手腕を発揮した。

雪に閉じ込められた列車。巧妙に張り巡らされた伏線。名探偵ポアロの鮮やかな推理が驚愕の答えを導き出す。

豪華に装飾されたオリエント急行に乗り込む、上流階級の人々。きらびやかなオールスターキャストによる娯楽作品に、リアリティを与えるため、監督のルメットは映画の冒頭モノクロの映像で一つの事件を挿入する。

実際に起きたある有名人の子の誘拐殺人事件をモチーフとしたこの事件こそが、列車内の殺人事件の謎を解く重要な鍵となる。

世界一有名なミステリー作家による、世界一有名な密室殺人事件を、世界一有名な名探偵が解き明かす😊

密室と化した列車の乗客全員が容疑者。原作を知らない人は、犯人当ての推理を楽しみ、既に読んだ人は、オールスターキャストの怪しげな演技を堪能できる。

ミステリーの女王と呼ばれるだけあり、アガサ・クリスティは数多くの作品が映画化されているが、自作の映画化で最もお気に入りの作品は、「情婦」と並んでこの「オリエント急行殺人事件」だったと言われている。

謎解きの面白さ、意外な結末、そして夢の豪華列車を舞台に豪華俳優陣が見せる名演技。クライマックス列車内にポアロの台詞が響き渡る。

〝では、食堂主任に席を用意させてください。これから私が皆さんの前で、事件の謎を解き明かします〟😊




〈余談ですが〉
ホームズと並び世界一有名とも言われる名探偵だけあって、エルキュール・ポアロは、時代を跨いで多くの俳優が演じてきた。

記憶に新しいところでは、新作が公開中のケネス・ブラナー。本作で特徴のあるセリフ回しと、猫背で実年齢より老け役に挑んだアルバート・フィニーは、この役でオスカー候補にもなった。

そのほかにも、大きな体でおおらかにポアロを演じたピーター・ユスティノフ。番外編では野村萬斎も日本版ポアロ勝呂武尊をテレビドラマで演じている。

個人的には原作のイメージに最も近いと言われるデヴィッド・スーシェが演じるどことなくユーモア感漂うポアロが好きだ。

ミステリーファンなら、それぞれお気に入りのポアロがいるのではないだろうか?
こういう話ができるのも、ポアロというキャラクターが、今でも愛されている証拠でしょうね😊