Tetsu

杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦のTetsuのレビュー・感想・評価

5.0
記録的豪雨に伴う土砂災害は記憶に新しいけど、あれは天災ではなくある種必然的に起こったもの。
人が長い歴史をかけて爆弾をセットしていったようなもの。

土砂災害は大地の深呼吸。最後のSOS。
凄く衝撃的だった。

今のやり方によるインフラの発達から得ているものは、大地の寿命すなわち人類の寿命と引き換えによる便利さなのかもしれない。

必要なのは風と水の通り道を作る。

たったそれだけのことなのか。
どの動植物も通り道を荒らさず大地の循環と共に生きているのに人だけが邪魔をする。
そんな事すら僕らは出来ていなかったのか。

全くもって他人事じゃなかった。
舗装された道はたしかに便利でこれを失くしたいとは思わない。
でも僕たちは自然と付き合っていない。そしてそれはあまりにも傲慢であることに気付けない。
もしくは無意識的に気付くことを恐れている。

いつしかこびりついてしまった資本主義的価値観は確実に僕らの寿命を喰って成長している。

この映画を鑑賞してとにかく危機感を強く感じたけど、同時に大地や自然がとても身近にも感じた。世界が広くなったような気もする。頭の中で大地が拡がり始めている。


水たまりを川につなげるとき、子うねうねと道を作る子どもが多い(?自分はそうだった気が。)けど、その行為は感情としては「楽しい」からだろうけど、無意識に自然の呼吸を感じることが出来ているのかもしれない。

今作の前田監督は編集者が本業であり、映画に関してほぼ素人だったそう。矢野さんに出会ったことをきっかけに映画制作を学び、このドキュメンタリーは初の長編作品。
本当にありがとうございます。と感謝を伝えたい。


大地の再生は組織にも通じる所が沢山あるなぁとも感じた。
Tetsu

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