おーもり

NOPE/ノープのおーもりのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.9
めっちゃ面白い!現代の未知との遭遇、ワクワクする。
得体の知れない何か。あれだけデカく、速く、手の届かない超常な存在。
それに比べて、人間のちっぽけで無力な事よ。

主人公たちが勝利の条件として据えた目標が熱い。
圧倒的に不利な立場。個と個の対峙では敵わない。まさに”無理<Nope>”だ。
しかしお前のその存在を、雲の中から引きずり出し、白日の元に晒してやるぞ、と。
父の敵。牧場を、妹を、守ると決意した兄OJ。不器用な兄の覚悟の戦いがはじまった。

ここからネタバレあり。
劇中で一番怖いシーンが、本筋と全然関係ない奴らで可笑しい。
近所のキッズ達。カマキリさん。そして芸能チンパンジー。
普段見ているバラエティ番組が、一瞬で悪夢に変わる恐ろしさ。
見たくない。でも目が離せない。
最悪の瞬間に取り憑かれてしまう、言葉にできない感情がしっかり刷り込まれた上で、アレと対峙する緊張感。
これが現代のメデューサか。

考えてみれば、アレ、なかなかお行儀が悪くてチャーミングにも思えてくる。
普段はじっと住処に身をひそめて、美味しそうなお馬さんを見つけるとヒュンヒュン嬉しそうに飛び回る。
そんでちょっと胃に悪いものを咀嚼しちゃうと、途端に不機嫌になって八つ当たりしてくる。
・・・かわいいじゃん。

一体何のか全くわからない、原理も理屈もつかない。意味不明。
そんなものに対して、現代機器、古典な手回しのフィルムを駆使して、その姿を映しだす。それに命を駆ける人たち。
図らずも、世界初の映画と同じ黒人が馬で駆ける姿で始まる、世界をひっくり返す記録映像だ。
真の姿の訳分かんなさ。常識では測れない奇妙さ神々しさに笑みが浮かんでしまう。
エンタメに溢れるエモーショナルなエンディング含め大切にしたいSFスリラー作品でした。