hoshikazukanjo

NOPE/ノープのhoshikazukanjoのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

エリック・ロメールは、画面の(人物の)上部に、つまり大気に詩情が生まれると言ってたそうですが、『NOPE』では画面上部が恐怖心を生みます。

私は普段、ホラー映画をほとんど観ません。突然大きな音を出したり、緩急をつけにつけまくったモンタージュを観ると、「力づくでビビらせやがって!!そんなん怖いに決まってるだろう!!芸がない!!」ってキレてしまうからです。『NOPE』も例に漏れず力づくホラーなのだけど、後半からはそれと同程度の力加減で立ち向かいます。天空に潜むなにものかの正体が分からない時がとにかく怖いけど、姿を見せてからはそんなに怖くないです。最終形態なんか前衛アートの域で美しいし、ぴらぴらの衣(吸込口もタコの口みたい)がちょっと安っぽい色紙みたいで面白い。もうこれなんの映画だっけ??ホラーってなんだっけ??というレベルで様々な感情を呼び起こさせてくれます。

まあでもこれを観てとにかく泣けましたよ…。日常が突如なにものかによって奪われてしまうのが恐ろしすぎて、悲しすぎて、大切な人たちのことを思って泣いてました……。これがホラー映画の副作用ですか……。みんな一緒に生きてほしい……泣

あと映画のための映画で、そこが映画オタクの私にはとってもとっても胸に刺さりました。写真や映画の持つ力。あの力強さ。
hoshikazukanjo

hoshikazukanjo