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悪は存在しないのhoshikazukanjoのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
5.0
ありえないくらい泣けて鼻がカッサカサになってる。赤と青で構成されたタイポグラフィ、横パン、ぶつ切りされる音楽などなど随所にゴダール『アワーミュージック』を感じるし、人々が不自然に静止して並ぶ様までオマージュ捧げてるのか!?と思いきや、「だるまさんが転んだ」をやってるだけだったという濱口さんの遊び心を素敵だなと思う。そんな「天国」がこのあとどう描かれるのかと思っていたら、胡散臭いプロモーションビデオ引っ提げてきた芸能事務所による説明会のシーンから、身につまされすぎて死ぬかと思った。濱口さんの気まずい会話劇、ちゃんと現在。普通の「良い映画」なら、100%破壊される地方の側について、「みんなで都会人を倒すぞ〜!」ってなると思うんだけど、もちろん彼らの主張が正しい前提で、サラリーマンならではの板挟みにあう苦しさをちゃん描くあたり、濱口さんのことを信頼できる。金髪兄ちゃんにあんなこと言われたら、負け惜しみの悪口だと思っていても、俺だってこんな仕事やりたくねーよバーーーカ!!って言っちゃいたくなるよ😭 東京で生きるために、稼ぐために、心ここにあらずであっても職務を遂行するしかない彼らの気持ちが私には痛いほど分かってしんどくなってた。。私も自分の至らなさで悔しい思いいっぱいしてきたからこのシーンで爆泣きしていた(そういう映画か??) そして長老が優しく諭してくれるのがただでさえ染み入るんだけど、最後に「こてんぱんだったね」って冗談っぽく言ってくれるの救われすぎて泣いていた……。真泉さん、入社してそこまで間もないと思われるのに、ちゃんと歩み寄ってほんと偉すぎる。ごめん、この映画サラリーマン目線でしか見れん。他にも言うべきことがたくさんあるはずだけど、今はこれしか言えん。濱口さんのこと、いつも恋愛の「あーもうむしゃくしゃする!!!」な感情ばっかりを描いてると思っていたけど、サラリーマンの悲哀を分かりすぎててビビる。流石です。
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