強烈な社会風刺の映画でありながら、最高級エンタメでもあるこの映画は、スペクタクル依存の怖さを、傑作を作ることで体現してるのだと思う。多くのものが搾取し忘れ去るなかで、テーマを捉え思考した者には、この作品をただのエンタメと消費させず、問題に踏み込ませる強さを感じる。
これまでのジョーダン・ピール監督作品は明らかなテーマがあり、それを表面に出し伝わるようにしていたが、今作はあえて隠しているように思える。1作目でヒットした監督作品の2作目は失敗するというジンクスを「アス」で見事に打ち破り、3作品目である今作も爆発的なヒットをさせている。さらに、今まで通りの作りでは無く、エンタメに昇華させている部分も、殻を破り、新たな領域に踏み込んでいる気がする。
社会風刺としてみなくても手放しで楽しめる作品だし、テーマ性を持っている作品としてみても複数のテーマを持ち合わせているように感じ、深く噛みしめることが出来る本作はかなり傑作だと思う。
(記録用)