あんがすざろっく

NOPE/ノープのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.3
雲の向こう側にいるのは、ラピュタとは限らない。


「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督が放つサスペンス・スリラー。

「ゲット・アウト」が、見終わって振り返る度に、実に様々な見方の出来る奥の深い作品だっただけに、こちらも期待していました。




牧場で映画撮影用の馬を調教するオーティス親子。
しかしある事件が元で、父親が死亡する。
牧場を受け継いだオーティスジュニア(OJ)と娘のエムだが、経営は上手くいかず、近所のテーマパークに馬を売らないと生活もままならない。
ある夜、牧場から逃げ出した馬を追ったOJは、そこで信じ難い光景を目にする。


直接的にショッキングな映像はないものの、ジワジワと何かが迫ってくる恐怖を味わうスリラーです。
シャマランの「サイン」を思い出しました。

映像的に驚かせるようなことはせず、決して飛躍的なストーリーでもない。

未知の存在との遭遇がこれから描かれていくのだろうと、観客の期待を煽って、それもしっかり描かれてはいくのだけど。

こういうジャンルの作品についてまわるのは、「エイリアン」や「未確認物体」のデザインの斬新さであることも否定できません。
もしくは、想像を絶するバトル。

ここを期待すると、少し肩透かしを食らうかも。
僕はこれぐらいの方が、リアリティがあって好きです。

僕は「コンタクト」や「メッセージ」が大好きですけど、この2本も、SFという形を取りながらも、科学に基づいた哲学や、人間ドラマを深く掘り下げた作品で、僕はゴテゴテガチャガチャなエンタメSFよりは、こういうタイプの作品が好みです。

カメラマンのホルスト役のマイケル・ウィンコットの低い声が、実に印象的。

ちょっと華はないけれど、ちゃんと地に足をつけて、「あり得るかも知れない」SF世界観が好印象です。

猿の話も結構好きです。
古くは「2001年宇宙の旅」から、ブラッド・ピットの「アド・アストラ」まで、動物にしろコンピューターにしろ、人間が全部コントロールできると思ったら大間違いなんです。
(あまり評価良くない「アド・アストラ」も、僕は好きです😉)
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