あんがすざろっく

ティアーズ・オブ・ザ・サンのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

4.0
グチらないジョン・マックレーン。

アントワン・フークア監督作ということで以前から気にはなっていたんですが、密林でのサバイバルものって、「プレデター」は別として、あまり惹かれないのです…。
「ランボー」とかも苦手だし。
泥に塗れて潜み、攻めて、逃げる。
これが苦手なんだと思います。
職場の映画部の方から勧められて、自分からはなかなか飛び込みづらい内容に飛び込んでみました。


本作は、ナイジェリアの内戦の最中、アメリカ人医師の救出任務にあたる米特殊部隊のストーリーが主軸に描かれます。

部族同士の殺戮、内政干渉。
アメリカは自国民には救いの手を差し伸べますが、その他の民族の命までは、守る義務がない。
それが内政干渉になるからなんでしょうけれど、目の前の命が危険に晒されている時に、何で政治の話になってしまうのか。
人の生死の問題なんです。


「ホテル・ルワンダ」でも、ジェノサイドが描かれ、それが実際に1994年という、それ程遠い昔でもない時代にあった実話と聞いて、ショックを受けたことを覚えています。
ここでも、何も手を差し伸べられない国連メンバーの苛立ちが描かれていました。


本作は実話ではありませんが、しかし今現実問題として、世界ではこういった衝突や虐殺が、大小関わらず起き続けていることを考えるには、充分過ぎるほどリアルな作品でした。


ブルース・ウィリス演じるウォーターズ大尉が、寡黙でかっこいい。
いつも軽口叩いたり、愚痴ったりという頑固親父のイメージが強いですが、今回は自らの過去はあまり語らない、歴戦のプロを演じます。

救出作戦は、比較的簡単に終わるはずでした、命令を着実に遂行していれば。

大尉は命令違反を犯します。
それでも捨て置けなかったもの。

部隊のメンバーは、引き返した時点でこうなることを予測していたに違いありません。
淡々とこなすだけの任務にはならないこと。
特にアフリカンの隊員ジーは、それを強く予見していたように思えます。

相手から攻撃された時のみ、交戦を許可されるはずの部隊。
しかし、彼らは先制攻撃を仕掛けます。
そこには、それなりの覚悟と、人間の感情が渦巻いていたのでしょう。


大きな展開やイベントはなく、ひたすらジャングルの中を進んでいく脱出劇になりますが、単なるアクション映画に収まっていないところが素晴らしいです。

リーナ医師役のモニカ・ベルッチもいいです。

実は本作は、もともと「ダイ・ハード4」用に企画されていたものでしたが、そのテーマの深さから、シリーズではなく単体の作品になりました。
愚痴りながらジャングルを走り回るマックレーン…🤔
これはダイ・ハードじゃなくて正解かな😅
それでもブルース・ウィリス、やっぱりかっこいいんだよな〜。
引退したのが残念で仕方ない😢



善なる人々が行動を怠れば、必ず悪が勝利する



一つだけ、あれだけ内政干渉に過敏だった上層部は、どうして大規模な攻撃を決行したんでしょうね…
そこだけ、妙にご都合主義に感じられたのは僕だけでしょうか。
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