あんがすざろっく

劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

4.3
これはもう、沼です。


ここ数年、アニメ三昧なんですが、今のアニメってクオリティが高くてビックリします。

日本のアニメと言えばまず思い浮かぶのが「スタジオジブリ」ですが、僕の中でじわじわと盛り上がってきているスタジオが「京都アニメーション」です。
何を今更と言われそうですが😅

以前「映画 聲の形」を鑑賞して、こんな凄いアニメがあるのか、そりゃ絶大な支持を得るスタジオな訳だ、と大感動したんです。


で、今回鑑賞した「響け!ユーフォニアム」。
テレビシリーズ第一期の総集編です。

少し前からテレビシリーズを見始めて、レビューをあげようかと思っていたんですけど、
劇場版の方を先にあげてからにしようと思います。



小学校の頃からユーフォニアムを吹いていた黄前(おうまえ)久美子は、京都・北宇治高校へ入学する。
入学式で新入生達を迎えたのは、吹奏楽部による歓迎の演奏。
その演奏は息も合っておらず、ミスも目立つ完成度。
久美子は愕然としてしまう。
「ダメだこりゃ…😓」

部活を決めかねていた久美子は、早々に仲良くなったクラスメイトの加藤葉月、川島緑輝(さふぁいあ)に半ば無理矢理吹奏楽部の見学に連れ出される。

そこで待っていたのは、部長の小笠原春香、副部長の田中あすか率いる部の面々。
更にその場に、久美子と同じ中学出身の高坂麗奈が入部希望者として現れる。
久美子は中学時代、麗奈に対して小さな罪悪感を残していて…。




まず、タイトルにもなっているユーフォニアム。
多分、吹奏楽をやっている人にしか知られてないでしょうね。

ユーフォニアムは、吹奏楽において低音を支える金管楽器です。
一般的にトランペットやサックス、クラリネットと言った楽器は名前が知られてるでしょうけれど、それに比べるとちょっと地味。
でも太くて渋い音が出るんです。
この楽器をメインに持ってくるところが素晴らしい。

原作は武田綾乃さんの小説ですが、武田さん自身、吹奏楽部の出身で、その経験も作品の原動力になっているのでしょう。



キャラクターがみんな活き活きしています。

主人公の久美子は、ユーフォニアム担当。
初めは吹奏楽部に入部するつもりはなかったのに、周りに流されてしまい、結局入部した上、他の楽器を演奏してみたいと目移りしている間にユーフォニアムを任されることに。
その雰囲気とは裏腹に、時として自分の思っていることがつい口に出てしまいます。
久美子は、まず喋り方がいい。
ヒロインらしからぬ脱力感と、アニメっぽくない自然体。
本作の魅力の一つだと思います。

久美子と同じ中学出身の高坂麗奈は、トランペット担当。
その高い技術力は上級生すらも圧倒してしまう程で、そのせいでやっかまれることもありますが、本人は全く意に介しておらず、それは彼女の目指すところが「特別になりたい」から。
正に孤高。
なかなか周りから理解されにくい性格をしていますが、彼女を支えてくれる人はちゃんと現れます。
「悔しくって死にそう」
この伏線回収が見事です。
屋上での「新世界」も良いです。

あがた祭りを見下ろしながらの「愛を見つけた場所(奥華子さん)」は名場面🥲



久美子とクラスメイトになった加藤葉月は、チューバ担当。
特にやりたい部活があった訳ではなく、吹奏楽部も軽い興味本意で入部。
しかし持ち前の明るさで、そのハンデを克服しようと努力する姿が印象的です。
あの体格にチューバはデカすぎますが😅

同じくクラスメイトの川島緑輝は、コントラバス担当。
「さふぁいあ」という名前が好きではなく、皆からは「みどり」と呼んでもらっています。
ずっとコントラバス一筋で、コンバスを演奏することに誇りを持っています。
何に対しても前向きで、思考がドラマチックでロマンティスト。
それが久美子達の救いにもなっています。


部長の3年生、小笠原春香は、バリトンサックス担当。
はっきりと主張をしない、大人しすぎる性格から、本人も部長としてのプレッシャーに晒されていますが、一生懸命部をまとめようとする姿に好感が持てます。

副部長の3年生、田中あすかは、ユーフォニアム担当。
吹奏楽部のムードメーカーで、赤い縁メガネが魅力的。
飄々として掴みどころがなく、発言が本心なのか冗談なのか読み取れないことも。
物語が進むに連れ、ただ明るいだけではない背景が見えてきます。
でも、本作で一番好きだったキャラクターは、このあすか先輩。
話が進んでも、それは変わらなかったな。

トランペットのパートリーダー、3年生の中世古香織は、後輩から慕われる優しい上級生。
高坂麗奈の入部がトランペットパートに波乱をもたらし、香織もソロパートを賭けて一人練習に励みます。

中世古香織に憧れる2年生、吉川優子はトランペット担当。
頭につけている大きなリボンが特徴。
気に入らないことには物怖じすることなく異を唱える、気の強い性格で、香織に心酔する余り、周りが見えなくなることも。

その吹奏楽部に新しい顧問として赴任したのは、滝昇先生。
甘いマスクと物腰の柔らかいイケメン教師ですが、指導は厳しいことから一部の生徒からは反感を買います。
しかし、その熱意がやがて部全体を動かしていくことに。

もう一人、重要な人物に2年生のユーフォニアム担当、中川夏紀がいるのですが、劇場版ではあまり描きこまれておらず、ちょっと残念。好きなキャラクターだし、作品中でもかなり人気があるのですが、テレビシリーズでは大活躍なので、是非注目してもらいたい一人です。

久美子の幼馴染の塚本や葵など、まだ魅力的なキャラクターは沢山いるのですが、紹介はこの辺で。
本編を見終わると、もう一回テレビシリーズを見直したくなってきます。




僕は中学時代3年間、ブラスバンド部に在籍していて。
本当に、在籍していたという言い方が正しいくらい、練習に身を入れることはなかったし、上達もしませんでしたが。
でも部活動自体は楽しかったし、今でも時々連絡を取り合ったりする親友は、ブラスバンド部のメンバーです。
(ちなみに僕はトロンボーン吹いてました…)
在籍中にこんなアニメと出会っていたら、もしかしたらもっと本腰入れて練習していたのかもな…と、少し後悔😓


それもあって、前々から気になっていた作品でもありました。
「海兵隊」なんかは、懐かしくて少しウルッときてしまいました。


オールラストにタイトルが出てきた時には、何とも言い難い高揚感でいっぱいになります。
急ぎ足だけど、劇場版第一作としては、実に見事な締め方だと思いました。

まだまだこんなレビューでは物足りない、圧倒的な熱量の青春アニメです。


「これは、愛の告白」
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