すえ

NOPE/ノープのすえのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.2
記録

劇場で観たかったのだが、色々と都合が合わず観れなかった因縁の作品。AmazonPrime、配信してくれてありがとう、封切りから配信まで爆速で嬉しいけど複雑な気持ち。
ジョーダン・ピール、やっぱり凄い。同監督の『ゲットアウト』や『アス』とはかなり毛色が違うが、やはり面白い。序盤は、「お、この展開は大丈夫か?」と戸惑っていたが、脚本に魅せられた。どんどん引き込まれていく。
この題材で下手な監督が撮ろうとすれば、単なるB級SFホラーに成り下がっていただろう、ジョーダン・ピールの手腕によってここまでの作品に昇華されている。
「わたしはあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見せ物にする」旧約聖書のこの言葉からこの映画が始まったことを覚えているだろうか、全てを観た後ではこの言葉への感触が変わっているはず。人間と動物、人間が動物を支配していると考えているのではないか。ジョーダン・ピールはそれを否定する。2つの関係は支配ではなく共存、支配していると考えるのは人間のエゴなのだ。我々は恣意的に動物を見世物にしてきた、その事実を忘れてはいけない。
世界初の映像作品である『動く馬』のシークエンスでハリウッド、映画史における黒人の扱いについてもサラッと言及していて、監督らしいなぁと感じた。
良作でした、ジョーダン・ピールの次回作に期待。

2023,177本目 6/16 AmazonPrime
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