Kaz

破戒のKazのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
4.6
現代では部落差別や身分差別は特に教育されないので、興味を持って調べない限り知らないままでいる人は多いのではないだろうか。

明治の初めに撤廃されたとはいえ、どうしても部落出身であることを言えない主人公の静かな苦悩を描いている。

自分が部落出身であることを嗅ぎつけた人間に遠回しに嫌味を言われたり、部落出身であるが故に好きな女性と一緒になる道を選べなかったり。

尊敬する猪子が糾弾に倒れたとき、自分が偽っていたことを静かに子供たちに懺悔する。
学校を去り、下宿していた寺を引き払って上京をする時に、人生の辻褄合わせが起きるのだが、誰もが主人公が救われて良かったと思える最後だった。

差別は決してなくならない、たとえ部落差別がなくなっても別の差別が生まれる、なぜなら人間は弱いから。

今の世の中にも通じるものがあるのではないだろうか。
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