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MEN 同じ顔の男たちのkanacoのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.0
癒されるような自然が美しい静かな田舎町で起こる、奇妙で不気味なグロテスクホラー。夫の死を目撃し心傷した女の目の前に、同じ顔をした男たちが次々と現れて追い詰める。主題を攻撃的なまでに押し出しているが、シーンの一つ一つの意味はメタファーで考察系。シンプルな不快感と嫌悪感に浸れます😱💦(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
夫の死を目の前で目撃することになった女性ハーパー。その心の傷を癒すため自然が溢れる静かなイギリスの田舎町を訪れ、立派なカントリーハウスを借りる。そこで待っていたのはカントリーハウスの管理人である中年男性ジェフリー。その後、散歩に出かけると森の廃トンネルから謎の男がついてくる…。そしてなぜか出会う男たちが皆ジェフリーと同じ顔…。不穏な出来事が次々と起こりハーパーを追い詰めるが…?

❶癒されるような美しい田舎町で起きる、奇妙で不気味なグロテスクホラー

夫の死を目撃してしまい心に傷を負った女の目の前に、同じ顔をした男たちが現れて彼女を追い詰めいていくという奇妙で不気味なホラー映画。

主人公のハーパーは心を癒すためにイギリスの田舎へやってきた。そのため舞台はとても長閑で自然が溢れて美しい。借りたカントリーハウスは憧れるような立派さと良い雰囲気を持っている。壁紙は白や暖色で明るくて温かく、内装や家具、小道具も素敵。散歩が気持ち良さそうな森は草木が青々と茂って静かだし、夜空は満天の星。ヒーリング効果に優れた映像が連なっている。

そんな心安らぎそうな舞台に反し、ハーパーの周りで起きることは不可解で恐ろしい。森で見かけた不審な男の襲撃、ナチュラルに男性優位の意識をただ漏らす〈同じ顔〉をした男たち=MEN、フラッシュバックする死んだ夫の顔…。そして終盤の20分はあまりにもグロテスクな映像が繰り広げられ私はドン引き。それを眺めている主人公もドン引きした顔。訳が分からないものの〈生々しいグロでヤバイ〉という印象付けはバッチリかと。

❷シンプルに、ただただ「こういう人たち、すっごく嫌いだな」という不快感

映像的に奇妙であるが、それを丁寧に説明してくれるわけではなく、メタファー過多。ジェンダーに対する主題を攻撃的なまでに押し出しているように感じるが、シーンの一つ一つの意味はストレートには理解しづらい。これもまたジャンルとしてよくあるタイプの、全面的に鑑賞者に思考を促せるものの、結局その答えを鑑賞側に手放すような要素が多いような印象🤔

正直な所、考察する気は余り起きず、本作を見て強く思ったのは夫と管理人の顔した男たちに対する「超気持ち悪い!😖」というとってもシンプルな不快感と嫌悪感。いつからかSNSで目にするようになった(あるいは映画とかの解説でみたのかな?)、〈有害な男らしさ(男性性)〉とかいう言葉が思い浮かんだが、そういう意味や議論を考える気力よりも、ただただ「こういう人たち、すっごく嫌いだな」っていう気持ちだけが残った。

夫や同じ顔をしたMENが口を開くたびに「いや、知らんわ」とか「なんでそんなこと言うの?」と思ったし、実際こういうことを面と向かって言われたら私はトラウマはなくても怖くてムカついて萎縮するなっていう。一方、ラストの展開は「この性質は男性の感情をも抑圧し、彼ら自身をも追い詰めて弱めていく」ということですかね?結果、こんなにも激しくひたすら責任転嫁してくるMENの行動理由が判明し、ハーパーも気持ちがストンと落ちた?

最近、ディズニー映画をよく見ていますが、ディズニーの恋愛絡む男ヴィランたちはこのMENそっくりだなぁ~とも思いました。直近見た作品だと、フロロー判事(ノートルダムの鐘)とガストンさん(美女と野獣)。この2人はMENそのまま。初めの方は野獣(美女と野獣)もちょっとこういうところありますよね。野獣は変わるけど🌹。

🍎🐝「豊かで静かな風景や素敵な住宅環境の中で、ある事件や周りからのストレスに圧迫されて気がおかしくなりそうな(もしくはなっている)主人公が闇深く沈んでいく暗喩ダークファンタジー系のホラー…。モノは全然違うものの、大きなジャンルで分けると『ミッドサマー』や『ハッチング―孵化―』などを連想させる作品かなぁと思いました。どれも爽やかなホラーじゃないですしね(爽やかなホラーなんてあんまりないけど)。そういうジャンルはお好きな方は見ても良いかもです🤔」
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