カネコ

MEN 同じ顔の男たちのカネコのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.5
春らしい暖かい日が増えてきて、それに伴って変な人に会う率も上がって来た今日この頃。
つい数日前も電車で通勤時に目の前の席が空いたので座ろうと思ったら隣に座っていた中年男性がなにかブツブツ呟きながら空いたシートを撫で回し始めたので座らずにこちらへの視線を感じながらスマホを凝視するしかなかった。

今作の主人公ハーパーも変な男たちに遭う事になる。

別れ話の最中に転落死(自殺かも?)した夫。目の前で目撃してしまったハーパーは夫の死がトラウマに。
息抜きに出かけたイギリスの田舎ではカントリーハウスのオーナーは田舎の人間特有の距離感の近さと寒いギャグでおもてなし。
美しい森に癒されたかと思ったら全裸の男に追いかけられる。
教会で会った少年は自分の思い通りにならないと暴言を吐き捨てる。
警察は捕まえた全裸ストーカー男をすぐに釈放。

登場する男が悉く気持ち悪いんだけど中でもヤバいと感じたのは司祭。
優しく悩みを聞く素振りをしながらさりげなくハーパーの太ももに手を置く。ハーパーに反応が無いと「さてはビッチか?!」と態度急変でビッチなんだからお前に非がある、男に殴られて当然と傷に塩を塗り込んでくる。言葉を選ばなければクソ オブ クソ。
インテリぶったロン毛すら気持ち悪く感じる。

ハーパーが出会う男たちが皆んな同じ顔なのは彼女にとって男は等しく無遠慮で不躾で押し付けがましく性的な視線を向け自分をコントロールしようとしてくる、そんな存在だから。そう死んだ夫のように。

せっかく田舎でのんびり癒されに来たのになんて日だ!!
ハーパーの恐怖と苛立ちが頂点に達した時に”それ”が始まる。
急なグロ展開にビックリしたけどなかなか無い演出。人が殺されるシーンはよく観るけど逆展開とは斬新だった。
観てるうちにもうええわ!って気になって来たけどハーパーも同じ表情してて笑った。

要は死んだ夫の事で悩んでいたけど田舎に行ったら他の男もクソだったのでどうでも良くなって生まれ変わった気分になれましたって話。

映像は綺麗で森の中の青い小花とか水面に浮かぶ蓮の葉と波紋とか鹿の死体が朽ちていく様の透明感が素敵だった。
音楽のセンスも良。

他にも土着宗教的なモチーフだったりギリシャ神話とか挟まれていたけど考察した所でなんか深みが増すような感じはしなかった。

どこか映画というより長いMV観てるような感覚があった。

かなり好みが分かれそうな作品。
好きかと言われると悪く無いけどそうでも無いかな。

あ、U-NEXTはモザイクなしでした。
カネコ

カネコ