コマミー

サムシング・イン・ザ・ダートのコマミーのレビュー・感想・評価

3.5
【取り憑かれた人とそれを見つめる人】



「ムーンナイト」「ロキ」シーズン2と近年はMCUドラマ2作品の監督に就任した2人コンビ監督"ジャスティン・ベンソン"と"アーロン・ムーアヘッド"。2人はこれまで"インディーズ"で"SFやファンタジーを交えたホラーやサスペンス"を作っており、その内2017年の「アルカディア」は、世界中の映画祭で高く評価された。MCUのキャストの繋がりとしては2019年の「シンクロニック」にてジェイミー・ドーナンと共にファルコンでお馴染みのアンソニー・マッキーを主演に添えている。

偶然出会った"古アパート"の住人である、"リーヴァイ(ジャスティン・ベンソン)とジョン(アーロン・ムーアヘッド)"。意気投合した2人はある日、リーヴァイが持っていた"結晶体"が眩い光を放って浮遊している所を目にする。2人は一瞬恐れたが、これを"一攫千金"とみてその一部始終を"ドキュメンタリー"にする事を決意する。2人はこの現象について手掛かりを探すが、次第に2人の関係性は悪くなってゆく…。

2人の内、本作は隣人であるジョンの事をメインに描いている作品だった。ジョンはいわゆる自分の事を"博識者"だと思っている上に、"宗教や陰謀論にのめり込む"狂人だったのだ。リーヴァイはと言うと、過去にいろいろ"事情を抱えていて"そこから逃げるようにこのアパートにやってきた。リーヴァイは結構このドキュメンタリー制作について軽い気持ちで臨んでいるのだが、ジョンはだんだんといろんな思考を持ち始めてのめり込んでいくのだ。
本作は最初は結構眠気に襲われてしまうような"まわりくどい描き方"をしているのだが、ラストに畳み掛けるまでに2人のいろんな思考が見え始めて、それを踏まえた上でこのジョンの存在の事が怖くなる作品になっていた。恐らく、アメリカにはこのジョンのように"無意味で根拠のない事"にのめり込んでいく人が多いのだろう…本作はそんな人達を"風刺した"作品なのだ。

本作の特殊効果なんかは少数で作ったとは思えないほど美しかった。2人の作品はこういった少数且つ低予算でこの結晶体の光のような"神秘的な映像"を作り出せる作品が多いのだろうか?作品は後で復習するとして、これは結構評価できる所ではないだろうか?
それに本作は、陰謀論などにのめり込む人を目の当たりにする恐怖を描いているだけではなく、誘い込む危険な要素も入っていてヤバかった。わざと"分かりにくい構成"にしているのも、この意味があるのだろうか?

「ムーンナイト」や「ロキ」シーズン2を見た方は、2人の作品も是非見てみてほしいと思った。中でも2014年の「モンスター」は私はちゃんと見た事があって、神秘的でもあり猟奇的な恋愛映画であった。「サムシング〜」同様、2人が役者としても出ている映画「アルカディア」も見てみるといいかもしれない。こちらはバチバチにカルト集団を描いた映画であるためオススメだ。

そんな2人が描く可能性が高い、新生アベンジャーズも就任されてば観てみたい
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