このレビューはネタバレを含みます
幼なじみに虐められ親からは過度な愛情を受けた優柔不断な"サラの選択"を描く殺人鬼スリラー。
物語の展開として、"ポスター"のような血だらけのサラを想像してしまうが、虐められている幼なじみ"にやり返そうとサラが"殺人鬼"に変貌することはなく、街にサイコパス"殺人鬼"が現れる。
突然、"サラ"が殺人鬼に遭遇してしまうのだが、虐められているところを結果的に殺人鬼に助けられるサラ。殺されそうになる幼なじみを見ながら恐怖感に震え失禁する。また、親が過干渉であるため虐められていることを知られたくないために事件のことを隠してしまう。事件の被害者が増え、事件が進展する状況の中、殺人鬼がサラに接触、サラの大好きな"チョコ"を殺人鬼から手渡され好意を持ってしまったために状況が一転する。
誘拐されたサラは、友人が拘束されている所を発見。サラの選択として、"自分が虐められることを知られないため自己を守るのか"、"友人を助け幼なじみを助けるのか"、"殺人鬼と恋に落ち逃げてしまうのか"と優柔不断なサラに多くの問題に直面する。(おそらく、過干渉な親からの支配いわゆる愛情がサラを"自閉的な性格"を形成している。)絶妙に、失禁したことやおりもので汚れても気にしないところ、優柔不断な性格、惚れやすさ等の表現(過度な愛情を受けて形成されたサラの人格)が非常に丁寧に描かれている。また、そのサラが"どのような判断をするのか"がこの作品の"見どころ"であった。
結果的に、自身の要求を満たしてくれる好意的な殺人鬼を撃ち(好意を持っている人を諦め)、友人の吊られている縄を銃で撃ち抜き助ける(虐められたけど友人を選択)選択にサラの"成長"を感じられた。親に支配され、虐められている状況の中、多くの問題に直面したら逃げ出したくなり身の回りの事が手につかなくなる気持ちは、共感できる部分もある。そこの描写がもどかしいくも、現実的だった。
実家が肉屋にて狩猟の経験があり、一発で射抜くシーンは、伏線回収もあり高評価。爽快感のある映画では無いが、鑑賞者に対して人は完璧では無く"何か欠けている部分"は誰にでもある。そのような性質を持つ自閉的な"サラ"が殺人鬼に立ち向かう展開は、"共感できる"人もいるのではないだろうか。視点を変えれば、"サラの成長"を描いたヒューマンドラマであったかのように感じる作品だった。