SHOCKER戦闘員の映画日和

アイ・アム まきもとのSHOCKER戦闘員の映画日和のレビュー・感想・評価

アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)
3.8
2022.10.09
公開からしばらく経過してしまいましたがどうしても気になっていた作品でしたのでようやく観賞して参りました。

-おみおくり係-という名の左遷された担当に細々と勤務する阿部サダヲさん演ずるまきもとの日常を時に優しく寄り添い、時に厳しく描かれていた印象でした。

ここ2〜3年の邦画界は言及こそされませんが恐らく生まれつきによる脳機能障がいによる方が主人公となる機会も増えてきた印象もあり、
私自身も数年前に診断を受けた当事者の一人という側面もあるので、
こうしたジャンルをどのような方々が観賞されるのだろうか?と単純に気になる部分もあったので率先して観賞するようにはしていますが本作は思いのほか肩の力を抜いて楽しめました。

確かにまきもとさんのような方は良くも悪くも自分ルールを徹底してる側面もあるので、マルチタスクが豊富な人間社会の中ではどうしても孤立してしまうのは無理ないよなぁ…。
なんて思ったりもしますし、日常生活の中でもまきもとさん流の徹底ぶりが伺えたりもするのでフィクションだけども妙に共感出来てしまうところがゾゾッとする反面、お仕事に対する熱量はとんでもなく凄まじいのでアンバランス故の魅力が非常に光っていました。

このアンバランスさを-個性-と捉えるか-厄介者-と捉えるかで全体的な印象も変わりそうですが、
改めて第三者目線で本作を見ていると周囲に方々の助けあって生活が成り立っている事を改めて痛感しますね。

一括りに障がいと言えど各々特質も違う事から周囲のサポートを受ける事が難しい場面もあるので不確かな存在と向き合う事は本当に大変ですが、日々感謝を忘れず生きていきたいと感じさせてくれる一本でした。
孤独死というテーマながら裏を返せばその人自身の幸せのあり方についても深く考察できるので考え深いです。