レインウォッチャー

永遠の831のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

永遠の831(2022年製作の映画)
2.0
■RWと48の地獄㉚
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…

□戦績
「不気味の谷」という現象をご存知だろうか。
ロボット等は見た目が人間に近づくにつれ親愛度が高まるが、ある水準に達すると違和感が上回り、不気味に感じるという心理的反応だ。

今作をこれに準えるならば、「不気味の谷底でクソリプを叫ぶ」アニメだ。
モーションキャプチャ導入の効果で肢体はやたらヌルヌルユラユラ動くのだけれど、顔の表情がついていっておらず、まるで人工のミュータントに囲まれたような違和感にずっと苛まれることになる。

それに輪をかけるように音楽のセンスが絶望的で、現実の日常風景と地続きな舞台なのに、壮大なドンドコ民族チャント系の音楽(まどマギにありそうな感じ)やアコギの爪弾きフォークなどが、ガチャで決めたかの如く素っ頓狂な場面で鳴り出したりする。まさに、不気味の谷に紐なしバンジーしている映像なのだ。

で、そんなアニメが何を語るのかといえば、そのすべては人生の時間が有り余っている物申す系ツイッタラーのつぶやきのコピペみたいな文章で構成されている。
「夏休みの最終日にしがみつくように停滞している日本の政治を弾劾する」というスローガンを掲げる集団・831戦線。なんだかこの時点で襲い来る共感性羞恥に何度も一時停止ボタンを押してしまうのだけれど、そんな彼らが勤しむ活動は主に特殊詐欺である。えぇ…

主人公の少年は、ある出来事を境に時間を止める能力を獲得する。そこを831戦線に見込まれてビッグな企みに加担する…みたいな話なのだけれど、最後までヤマもオチも意味もなく、クソリプと主人公のモノローグとモノローグに次ぐモノローグだけが積もっていく。興味がまったく湧かないうえに、粘度だけが高すぎて胸焼け不可避だ。

ちなみに主人公も主人公で、時間停止して何をするのかと思えば厄介客からの新聞の集金だったりする。大儀という名の言い訳、集金という名のドロボー。

彼の時間停止能力は、発動も解除も自分で制御できず、過度のストレス(=客のクレーム)に曝されたときのみに発動する。
そういえばわたしも、今作を観ているとき時の流れが鉛でできたゾウガメくらい遅くなったのだけれど、これはもしかして何か能力が目覚めかけてるのだろうか?

よし!わたしも831戦線を組織するときだ!立ち上がれ!!
もしもしかあちゃん?オレオレ!…え?今の夏休みって31日を待たず終わるって、マ?


□倒しかた
CVだけはやけに粒ぞろいだ。主人公とヒロイン(斉藤壮馬&M・A・O)ほか、日笠陽子や大塚明夫など。
世の中にはわけのわからない仕事もある。わけのわからない夏休みの宿題もたくさんあったように。


□分類
精神が日射病になりそうな地獄


□取り戻したパーツ
漢ド・計ド


□次回予告
忘失!●●屋 あなたを●●●い!
>>To Be Continued...