耀加

イル・ポスティーノの耀加のネタバレレビュー・内容・結末

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

数えきれないほどの言葉が世界には目紛しく飛び交っている。誰かを傷つけ力尽くで納得させるような、そんな心がしんどくなるようなものに出会す場面も多いけれど、この映画で発せられているのは、誰かを想う素朴で真っ直ぐな気持ちを、たくさんの隠喩に乗せた幸福の言葉ばかりだった。三浦しをんさんの小説に、果てしない言葉の海を渡って辞書を制作するための舟を編む人々の話がある。詩人のパブロ・ネルーダに出会い言葉について真剣に考えを巡らせるマリオは、初めこそそんな寄せては返す言葉の波を「船酔いしそう」と表現するけれど、イタリアの島の風景を背に彼らが紡いでいく言葉はどれも本当に美しくて、ずっと心地良いものだった。
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