MasaichiYaguchi

まんたろうのラジオ体操のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

まんたろうのラジオ体操(2022年製作の映画)
3.4
HU35ファイナリストで報道関係のADである老山綾乃監督の実体験が反映されたと思われる本作で描かれるのは、独居老人、痴ほう症、ワーキングプア等、社会で片隅に追いやられている存在や問題。
報道番組のADとして働くさくらは、日々の激務に心身共に磨耗し、遂にダウンしてしまう。
休業を余儀なくされて自宅で過ごす中で、さくらは、判で押したように朝昼晩の定刻にラジオ体操をする真向かいの認知症の老人、木村万太郎の存在を知る。
初めは、ラジオ体操の大音量に悩まされていたさくらだったが、ひょんなことから万太郎と共にラジオ体操をするようになっていく。
間も無く「まん防」が全面解除されるが、コロナ禍で生き辛さを感じている人は少なくないと思う。
そんな社会で、思わぬ出会いによって疲弊した心身が癒され、そして再起していく過程を、本作はエモーショナルに我々に提示してくれる。