名作という触れ込みで、ずっと観たかったけどTSUTAYAに置いてなくて、大学時代に間違えて『ラスベガスをぶっとばせ』を借りて観たら1mmも面白くなくて、個人的には幻の一作だった。最近なぜだかNetflixで配信されてて観た。
特別プロットもなく、デュークとゴンゾーがドラッグまみれの悪夢のような数日を共にし、なんか最終的にはバディ・ムービー的に良い話風で締める、謎めいた映画だった。雰囲気的には『ドラッグストア・カウボーイ』とか『トレインスポッティグ』というよりは、(全然好きじゃないけど)『ハングオーバー』とかに近いような気もする。
ただ、『ラスベガスをやっつけろ』の良いところは、その実、根底に深い諦念と悲しみのようなものが感じられるところだろう。死ぬんじゃないかという勢いでデュークとゴンゾーはドラッグを過剰摂取し続ける、特に目的とかもなく、むしろ嘔吐ばかりしていて、楽しいというより辛そうだ。そう、それでも、気が変にならないように、意識を変容させるしかない、とでもいうような、世界に対する強烈な違和感。それを体現するジョニー・デップの、ハードボイルドなんだかなんなんだかわからない演技が素晴らしい。めちゃくちゃ面白かった。