「好きに勝るものなしでｷﾞｮｻﾞｲﾏｽ！」
のんさんのビー玉みたいな目と
イキイキとした表情や動作。
全編ゆる〜くやさしい。
たえずクスクスと笑う声が
劇場にあってうれしかった。
笑わせ方もちょうどいい。
親父がタコ叩きつけ続けるのとか
総長とカミソリのところとか。
お母さんの姿勢が
単にやさしさや
教育方針の話ではないように思えた。
ミー坊に対して妙に他人ごとのような
ところは少し怖さもあった。
放任、というより
ミー坊を自身の慰めに
してしまっているような。
自我の無さというか。
ミー坊がモモ親子と
シームレスに同居を始めるところ。
最高だった。
クレヨン買うところも。
そのあとの泥酔ミー坊もよかった。
温度や台本、俳優すべてよかった。
人を惹きつけるミー坊とその出会いが
全て繋がってさかなクンが生まれる。
ここにも出ていた柳楽優弥の
『浅草キッド』と比較しても楽しい。
柳楽優弥が演じるタケシと
のんが演じるさかなクン。
作品自体のそもそもの違いもあるが
それぞれ実在の人物へのアプローチが違って
その豊かさに魅力を感じた。
家庭環境の変化や高校の荒れ具合など
ネガティブにも描けてしまうような要素を
「ギョギョおじさん」に説明させたり、
コミカルなタッチで物語の優しい雰囲気に
仕立てたりしているところが
この映画の面白さだし、
技術として勉強になった。
時代にもあってる。
「普通って何」とか、なかなか
チープで雑なセリフだけど
ミー坊が言うと説得力がある。
ミー坊はミー坊だし、モモはモモだよな。
ミー坊はミー坊の普通で生きてるよな。
そういう意味でも海の場面は好きだった。
「家族のやつでしょ」
あと、映画だから
ハショられてたのかもしれないけど
野良なのに白衣着てテレビ出たの
ヤバいやつで好き。
音楽が素敵だった。
パスカルズやんけ！
「好きを伸ばす」みたいな
教育がもてはやされる昨今。
ミー坊を見るとそうあるべきだと思うが、
一方であそこまで好きなものや、
目を見張る何かがない我々大多数にも
好きを伸ばす教育を強いるのは
酷な事のように思う。
好きを見つける、
好きがなくてものびのび学べる、
可能性を見出す教育の必要を
同時に感じた。
朝倉あきさんの使い方が
悪い意味で贅沢。
あと仕方ないけどオチが雑。
